2011年11月27日

あるスポーツジムの失敗

(この記事はHow the Gym has Failedの和訳版です。この記事の要旨は一部の店舗に対して文句をいうことではなくて業界全体の体質を批判しているため、記事中の固有名詞は仮名です。ただし、チェーン自体は日本にも進出している大きめのものであることは表記しておきたい。)

先日、近所にあるスポーツジムの11月中の無料券なるものが届いたので、どんなものかと言ってみることにした。運動も必要だとは思ってたし。結局は2時間無駄にしただけに終わったのだが。

その「無料券」自体、同じ系列の違うところのものだったのだが・・・・・・。まあ、それはしょうがない。

カウンターの中の人にそう言われたから帰ろうとしたら店の人に呼び止められた。どうやらセールスの人で、体格からして多分トレーナーなんかもやっているんだろう、まあ、とにかくこの人を仮にジョンとしておく。(後から調べてみるとジェネラルマネージャーの肩書きをもつ人物だった。)まあ、話してみるだけならいいかと思って話をしてみる。まあ、内容自体はなぜジムの会員になるのを考えているのか、というような話。その後、施設を案内してくれた。

施設はなかなかいい場所で、体重と身長を測った後にもう一度テーブルに戻った。この時には特に金払って会員になることを考えていなかった。無料券の使用を目的に来ているわけだから・・・・・・。この後は想像できることかもしれないが、その場で有料の会員登録を迫られたというわけ。まあ、長期のコミットメントではなくて、月毎のものではあったが、長期、短期問わず、コミットメントを迫られたわけだからどっちも同じ事だ。

連中は登録を説得するためにある一種の「恐怖」で迫ってくる。
「今、会員登録しなければあんたは不健康になる。」
その次は「焦り」を使う。
「今登録しなければ入会金が100ドル高くなります」
それでもダメなら抱き合わせ。
「今これを登録すれば同じ値段でこれとこれがつきます。」
実はこれまでに他社の人とも話したことがあるのだが、連中は「検討する」機会を与えないように持っていく。この表明をすると連中はそれが逃げるための口実だと言ってくるのだ。その時のお決まりのセリフ。
「今、契約しなければあんたは(気が弱いから)逃げて戻ってこないだろう。」
まあ、こんな感じでのらりくらりと、ジョンの方もその勧誘がどうにもならないと気がついたのだろうが、それまでの戦法から打って変わって軽い「罵り」戦法を発動して、だんだんと本当の罵りに変えていった。まあ、このあたりで自分も腹が立って交渉決裂させた。ジョンの強欲は失敗に終わり、2時間無駄にしたわけだ。あ、あと、もし普通に接していればもしかして会員料ぐらいは払って入っていたかもしれないから、その商機も逃したわけだ。
ジョンにも言い分はあるのだろうが、顧客としての立場から言えば彼の営業は圧迫商法以外の何者でもない。この体験によって、絶対にそのジムには行かないし、行くとしても他のところだ。おそらく、この商法で取り込める人がいるからこういう商法を展開するのだろうが。前述のように、同じ業界の人と前に話した機会があるが、同じような手口だった。

今回の体験と観察からジムに入ろうとする場合は以下のようなことに気をつけるべきであると考える。
  1. 常に相手は商品を売りつけようとしている人物であると認識する。会話の中で「あなたのことを考えてのこと」などということがあるが、それは「自分が儲ける必要があるから、あなたのことを考えてのこと」と読み替える。彼らが行うアドバイスというのは会員として取り込むことを目的に行っている。彼らは商売であって決してあなたの親友ではないのだから。
  2. 最近では「あなたの本当の年齢」などという情報を提示しながら話してくることがあるが、これは疑ってかかること。もしかしてそのデータ自体はそこまでは間違っていないのかもしれない。しかし、それを交渉を押し切るためのツールとして使ってくるのであれば別だ。ジョンの態度で興味深かったのは「検討」の意思を出した前と後でそれが客観的なものから主観的なものになったことである。(最初は「この情報からすると、あなたの大体の年齢水準はこういうかんじになる」と言って後からは「あんたのこのデータは危険だ」というような感じ。)
  3. 同じチェーンで無料チケットを使った他の人の体験を聞くと、人によって標的にされやすい層があるらしい。不健康的な人を狙ってるんだろうな。(まあ、確かに砂漠の住人に砂を売るようなムダはしないだろうし。)
  4. 店に一歩入ると連中のコントロール下にあると思っていい。彼らに止める権利はないんだから、必要であれば席を立つべき。(というか、2時間無駄にする前にこれをしておけばよかった。)
  5. 持ち帰って検討をさせないような態度を取るのであれば特に気をつけるべき。
  6. 疑問が感じるような商法による営業を受けた場合は州の司法長官局に消費者保護の機関があるのでそこに連絡しておく。
  7. (よほどモグリな商売をやっているようなところではない限りはここまでいくとは思えないが)身の危険を感じたら911で警察を呼ぶこと。特に立ち去るのを阻まれたときなどは。

あと、サービスを提供する側にも言っておきたい。
  1. 答えるのは聞かれたことでいい。もし問い合わせが対応できないことであるのであればその場で拒否してくれ。(この自分のケースの場合、二時間を無駄にする前に店側は対応できない正当な理由があったはずだ。)Xのことを聞いているのにYをオファーする理由はない。
  2. 「検討する」って言っているんだから検討させろ。一日に「わずか」2ドルであろうが100ドルであろうが関係ない。検討するって言っているんだから検討したいのだ。戻ってくるか来ないかはあんたらには関係ない。「逃げるための口実」ってアホか、なぜあんたらに断らないといけないんだ、買う側の自由だ。それはあんたらの仕事じゃない。自分の金を使って何かするのに指図されるいわれはない。(あと、もし本当に「あなたのことを考えている」って言うのであればじゃあ代わりに金払ってくれ。)
  3. みんなが目的を持って来ているわけじゃない。なぜ会員になるかという答えを真に受けてそれを短期的な目標と決め付けるな。あんたらの「効果的な運動論」を受け入れると言った覚えはない。もしその点に質問があればこちらから聞く。
  4. その場で全部売れると思うな。トライアルはそのためにあるんだよ。その後営業機会はいくらでもあったわけだ。その押し付けで商機を全部失ったと考えていい。
  5. 圧迫営業なんて時代遅れ。これでも見てくれ。http://theoatmeal.com/comics/sell_generation
  6. 絶対に客を罵るな。あんたらのその行為はその本人ならず、周りに広がるぞ。個人的には自分の一番嫌いな奴にでさえ薦めることはしない。
まあ、フリーランチはないとはよく言うが、フリートライアルもないってことか。